第164章 あの父子とは絶対に引き離されなきゃならない

長谷川栞の手が、かすかに震えた。

――今まで、お父さんとお母さんは「仕事が忙しいから」って嘘をついて、蓮に会いに来なかったの?

でも、もう何日も経ってる。

蓮だって、いくら子どもでも信じ続けられるはずがない。

栞の手は勝手にドアノブへ伸びたのに、握り込む決心だけがつかない。

「体調は大丈夫よ。仕事のことはね、おじいちゃんに聞かないと。蓮が知りたいなら、あとでお母さんが電話して聞いてあげる」

病室の中から、母の優しい声が聞こえる。

栞は結局、ドアノブに触れきれなかった。――もう、いい。これで。

「ううん、大丈夫。おじいちゃん、今たぶん運転してるし。邪魔しないでおこう」

蓮は、...

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